「TV-Watch」2000年7月分

 

わたしが見たテレビ番組の感想を適当に掲載していきます。雰囲気としては、喫茶店の隅で仲間が集まり、見たばかりの番組をネタにして、勝手な放言をしているという感じです。読んだ人は、メールなどで反論をよこしたりしないようにしてください。ただし、事実誤認があれば、それだけは指摘に応じて訂正するつもりです。それ以外のクレームはいっさい受けつけません。


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 2000/07/01 (Sat)

「サクラ大戦」TBSテレビ 毎週土曜日17時30分〜18時
 冒頭部分に不満を感じた。都市開発について何か勘違いしているんじゃないだろうか。破壊と創造は、生きている都市を人為的に制御するための有効な方法である。同じことは古代からずうっとおこなわれてきた。ま、一種の文明の象徴みたいな行為ね。それに対する無意味な感情的否定の心がどこかにあるから、こういう設定をつくってしまう。もう少し人間と文明について、いろいろな切り口で考えてくれたらなあ。……って、こんなことをうだうだ言うような作品じゃないわな、これは。
 ということで、ひっかかったのが、つぎのせりふ。
「プロは相手の技を全部受け止めて、その上で考えるのよ」
 これ、違う。「プロ」じゃなくて「プロレス」の話だぞ、おい。うまうまとネタをかましてくれたね。
 ちなみに、故大山倍達極真会館総裁は「相手の技をひとつも受けず、自分の技はすべて相手に叩きこむ。これが空手における理想の闘いだ」と、わたしに語った。こっちのほうが格闘技に関してはプロだと思う。
 ◎ 今週からEDが夏向けになった。これはいいね。まさか、この作品で季節ものをやってくれるとは思っていなかった。 




 2000/07/01 (Sat)

「マシュランボー」テレビ朝日 毎週土曜日18時28分〜18時58分
 いわゆる、どーしようもない作品。雑な構成。行きあたりばったりの展開、ださいせりふ。稚拙なシナリオ。いまひとつ力の弱いキャラデザイン。評価するところがひとつも見当たらない。同じ時間帯の前作「神風怪盗ジャンヌ」もげろげろにひどかったから、これはこの時間帯の呪いなのかな。当然、さっさと打ち切られると思っていた。ところが、どうだろう。意外な延長戦がはじまろうとしている。関連商品のフォローが必要だとか、そういう理由なのかしらん。こういう変則的な後編って、ちょっと意味が違うけど「発明BOY カニパン」以来じゃないだろうか。あっちはキャラ設定をいきなりおたく向けに一新するという手にでたけど、こっちは同じシチュエーションで新しいヒロインを立てるという方法を打ちだしてきた。ま、なんでもいいよ。少しでもまともな作品にさえなってくれれば。でも、監督(シリーズディレクター)が同じなら、何も期待できない。いろいろあとづけで理由が語られているけど、「セーラームーン」が作品として成功したのは、設定でも、キャラデザインでもない。シリーズディレクターがよかったからである。佐藤順一、幾原邦彦と、「セーラームーン」はシリーズディレクターに恵まれていた。今回、監督(シリーズディレクター)は変わるのだろうか。次回、とりあえず注目するのは、その部分ということになる。




 2000/07/01 (Sat)

「アッテンボローの鳥の世界 1 飛ぶべきか飛ばざるべきか」NHK教育 毎週土曜日20時〜20時50分
 イギリスの映像プロデューサー、デイビッド・アッテンボローが全10回のシリーズで描く鳥の世界のすべて。……というわけで、第1回は鳥の歴史と鳥の種類などが取りあげられていた。秀逸なのは、恐竜から鳥に至る化石の紹介。化石の発掘現場を尋ね、化石を見せてから、CG映像へとつないでいく。その手法がとてもうまい。また、このCGがリアルなのよ。実写と組み合わせてあるから、当時の生態は本当にこういう感じだったんだろうなと思わせてくれる。映像の利点を目いっぱい利用しているから、物書きとしては実にくやしい絵になっている。教養のかけらもないおかしなタレントを使い。おどろおどろしい音楽と大仰なナレーションでけたたましくつくられる民放のドキュメンタリーは、これを見ておおいに反省してほしい。映像で情報を伝えるとは、こういうことなのだ。 




 2000/07/01 (Sat)

「チューボーですよ」TBSテレビ 毎週土曜日23時30分〜24時
 ゲストが小川直也と村上一成。よく、このふたりをゲストにしようと思いついたね。しかも、ふたり一緒にというのがいい。先週は爆笑問題ということで期待していたのに、でたのは田中ひとりである。やはり、コンビはふたりででてくれないと。で、今回の放送でいちばんおもしろかったのは、ゲストふたりとレギュラーふたりの身長差。こういうインパクトは、映像作品として重要である。しかし、☆ゼロの料理というのはひどい。より熱い再戦を希望する。 




 2000/07/02 (Sun)

「ワールドドキュメンタリー 銀河宇宙を探る〜ハッブル宇宙望遠鏡を支えた技術者たち」NHK衛星第1 23時〜23時50分
 BBC制作のドキュメンタリー(アメリカと合作)。CATVのBBCチャンネルで見たような気がするが、同種の番組は山ほど見ているので区別がつかなくなっている。トホホ。内容はハッブル宇宙望遠鏡が製造され、スペースシャトルによって無事に打ちあげられるものの、反射鏡に欠陥が見つかり、その対策がおこなわれるまでの苦難と奮闘の物語。完成までのいきさつと成果が手堅くまとめられていて、ハッブル宇宙望遠鏡の概要を簡単に知るには、いい作品となっている。しかし、わし座の美しい映像の上に中尾元建設相の汚職ニュースのテロップを載せるのは、何があっても避けてほしかった。ああ、むかつく。




 2000/07/02 (Sun)

「新アジア発見 オリジナルアニメに夢乗せて〜韓国・ソウル」NHK総合 毎週日曜日23時10分〜23時35分
 日本のスタジオの下請けが全収入の80パーセントという韓国のアニメ会社がオリジナル長編テレビアニメをオンエアさせるまでのルポ。番組内で焦点があてられているのは女性のプロデューサーで、「装甲救助部隊レストル」をヒットさせた人。「レストル」は韓国では視聴率20パーセント以上を記録したらしい。日本でも、NHK衛星第2で放送された。しかし、わたしは途中で視聴を中止し、見るのをやめた。作品として、わたしが評価するレベルに至っていないという判断である。今回の作品は、「レストル」とはまった違う子供向けのファンタジー。キャラクターも絵本のそれふうにデザインされている。ただし、はっきりいって、あまりうまくない。
 番組は、制作が追いこみに入った放送寸前の数日を追いかけていた。ぎりぎりまで修正を施し、完パケを納品したのが放送の前日(5月5日)。それを局が最終チェックし終えたのが放送日の午前1時という綱渡り制作である。しかし、この女性プロデューサー、日本の常識でいったら、明らかに越権行為をおこなっている。している作業の多くが、監督のそれである。プロデューサーがこういうことをしたら、監督や音響ディレクターの立場がなくなってしまう。いったい、どういうシステムで作業を分担させているのだろう。そこがよくわからない。韓国では、監督の力がすごく弱いのかな。そのあたりも、きちんと伝えてほしかった。その場合、韓国のアニメが日本のアニメを質的に陵駕するのは、かなりむずかしくなる。映像作品を高みに押しあげるのは、常に才能ある監督のすぐれた力量である。このやり方では、優秀な映像作家を生みだすことはできない。誰かがいつか、このことを彼女に教えてあげるべきだろう。




 2000/07/03 (Mon)

「クローズアップ現代“宇宙居住棟”いよいよ発進」NHK総合 月−木19時25分〜20時
 国際宇宙ステーションの宇宙居住棟「ズベズダ」が来週7月12日、ようやく打ちあげられることになった。本当はもっと早く打ちあげられるはずだったのだが、「ズベズダ」を軌道上に送りこむためのロケット「プロトン」に欠陥が見つかり、財政難のために、その修理予算がとれないと主張するロシアによって打ちあげをえんえんと先送りにされてきたプロジェクトである。しかし、今回、アメリカが「てめえんとこでさっさとやらないのなら、うちで勝手に居住棟を打ちあげちゃうぞ」と脅かし、なんとか打ちあげに関する合意が成立した。ミールの経験値があるからとロシアが担当することになったのに、作家の締切のように、その打ちあげ期限をずるずると伸ばされたのでは、計画参加国はたまったものではない。「ズベズダ」は、ステーション建設を担う宇宙飛行士の住居である。これがないと、そもそもステーション建設が進められない。それを知りながら、平然と打ちあげ引き伸ばしをはかってきたのだから、ロシアもいいタマだね。……って、話はまったく語られず、「打ちあげ、めでたいめでたい」だけで、この番組はつくられている。いくら、この計画を紹介するのが目的とはいえ、もう少し言いたいことは言ったほうがいいんじゃないの。慣習、メンタリティの違いによるトラブルについては一応、取りあげられていたが、この扱いもちょっとぬるい。日本だって苦しい不況の中、巨額の税金を遣って、この計画に参加しているのだ。文句を言う資格は十分にあると思うよ。でも、おもしろい映像がいろいろとでてきて、けっこう参考になった。打ちあげ後の実況中継にも期待している。と言いたいけど、雑誌のテレビ番組表を見ても、関連番組がぜんぜん見当たらない。これって、何も放送されないのかな?




 2000/07/05 (Wed)

「トゥナイト2」テレビ朝日 月−金23時59分〜24時54分
 三沢選手の全日本プロレス離脱、プロレスリング・ノア設立を受けてのプロレス特集。今回は、テレビ朝日がやることに意味がある。ちょっと前だったら、辻アナウンサーが全日本の選手に関してコメントするなんて、考えられなかったんだもんね。でも、新日本の選手の反応については、もう少しいろいろと取材してほしかった。って、余波が新日本に及んでしまうのを嫌ったのかな。




 2000/07/05 (Wed)

「コロッセオ」日本テレビ 毎週水曜日 25時45分〜26時15分
 新装開店番組、本格放送の1回目である。トゥナイト2につづいての全日&ノア情報は、さすがに詳しい。しかし、天竜選手と元子取締役の握手とはね。よく水に流したなというのが、外野の印象。追いつめられれば、人間、どのようにでも信念を変えるという典型例であろうか。試合中継は、神取選手と天竜選手の一戦が見られてよかった。神取選手、本当に顔が変形していたなあ。体重から考えても、ジュニアヘビー以上の選手とやるのは無理だと思うよ。で、番組内メインイベントの大日本プロレスのレモン・ソルト・マスタード・デスマッチだが、こちらは最低だった。こんな試合を金払って見にいく人がいるのね。人それぞれである。べつの意味で、参考になった。




 2000/07/07 (Fri)

「メダロット魂」テレビ東京 毎週金曜日18時〜18時半
 噂で新シリーズの設定を聞いたとき、まんまミニ四駆の「レッツ&ゴー」やんけと思ったのだが、見ても、やはりまんま「レッツ&ゴー」である。しかし、記念すべき第1回でこんなに作画が悪い作品って、そうないぞ。「メダロット」は作画が安定しているのがナイスだったのに、残念。次回からは、ちゃんと安定した作画を取り戻してほしい。内容その他の評価については、しばらくあとになる。もう少し全体像がつかめないとね。




 2000/07/07 (Fri)

「とっとこ ハム太郎」テレビ東京 毎週金曜日18半時〜19時
 今後、見つづけるかどうかを決めるための視聴。基本的に、この手の作品はわたしの視聴対象にはならない。出来不出来に関係なく、わたしの評価基準から外れている作品だから。したがって、この作品を見るのは、これでおしまい。




 2000/07/07 (Fri)

「金曜エンタテイメント ツインズな探偵2 ホステス保険金殺人の罠」フジテレビ 毎週金曜日21時〜22時52分
 まったく見ていない番組である。しかし、家人が見ていて、久本雅美さんの役名が「高千穂春菜」だったと言われた。そのあと、ネットでも同様の指摘があった。トホホ。どうして、浅野ゆう子さんの役名にしてくれなかったのだ。恨んじゃうぞ。




 2000/07/08 (Sat)

「NHKスペシャル ミレニアム紀行 エルサレム 聖地に生きる」NHK総合 毎週土曜日21時〜21時50分
 緊張しながら見ちゃったね。イスラム教、ユダヤ教、キリスト教がそれぞれの聖地と定め、各教徒がテリトリーを決めて居住区を形成しているエルサレムの現況報告である。でも、これ、宗教音痴に陥っている多くの日本人には、絶対理解できない世界だろうな。これだけの戒律、これだけの信仰があって、はじめて宗教という存在が意味を持つ。そういう、もっとも基本的な部分すらわかっていない人びとが日本にはたくさんいる。異端者、異教徒は、人間ではない。本当の宗教は、そのように定義する。聖墳墓教会の内部を見て、「同じキリスト教徒なのになぜ?」と思った人、博愛とか、隣人を愛せよって言葉は、同じ宗教、同じ宗派の中にいる人たちだけで通じる約束事なのだよ。まず、これを知らなくてはいけない。これを知ってはじめて、終わりのほうで、老ユダヤ教徒がイスラム教徒を隣人として認めるシーンが生きてくる。映像化し、紹介するにふさわしい重みを持ってくる。まずは、聖書を読もう。旧約聖書を読めば、ユダヤ教の中身を知ることができる。新約聖書を読めば、キリストの教えが本当はどういうものであるのかを見ることができる。そして、できれば、コーランにも目を通しておこう。わたしは本、CD-ROMで4種類の聖書を手もとに置き、事あるごとに頁をひらくようにしている。コーランは岩波文庫の3巻本をそろえている。それでも、宗教の本質には絶対に迫ることができない。宗教は生活そのものなのである。人生が宗教と一体化していない限り、宗教のなんたるかを知ることはない。いくつかのカルト教団が、日本にはまれな宗教組織らしい宗教組織と言われるのは、そのためである。活字や映像は、単なる導入ガイドでしかない。とはいえ、これはしみじみといいレポートであった。もう少し長くても、よかったな。




 2000/07/08 (Sat)

「ブロードキャスター」TBSテレビ 毎週土曜日22時〜23時24分
 わたしのまわりにいるテレビ愛好家の中だけで通用している「危険物」という言葉がある。どういうものかというと、要するに「汚れなき悪戯」とか、「フランダースの犬」の最終回とか、「母をたずねて三千里」の文無しになったマルコにイタリア移民の人たちがお金をつぎつぎと渡す回(ごく初期のマフィアの精神であるな)とか、三益愛子の母ものとか、「瞼の母」で番場の忠太郎がおっかさんと別れるシーンとか、そういう作品、番組、エピソードのことである。わたしはこういう危険物には極力、近寄らないようにしている。
「きのうのあれ、どう? 録画はしてあるんだけど」
「危険物だぜ。バケツ3杯、ハンカチ5枚」
「じゃ、見るの、やめとく」
 なんて、感じね。どうしても見なくてはいけないときは、必ずひとりで見る。誰も同席させない。
 青江三奈さんの訃報を聞き、わたしは彼女の特集番組を避けてきた。危険物になるのは間違いないからである。だが、うかつにも、この番組のことをすっかり忘れていた。そうだよな、この番組なら取りあげるよな。
 それでも、わたしは可能な限りがんばった。が、ついに「池袋の夜」でぐらりときた。もうこらえきれない。そう思った。そのときである。ふっとむかしのことを思いだした。
 どこだったのだろう。たぶん、どこかのパチンコ屋の前あたりだったような気がする。歩いていたら、「愛しのすーちゃん」が流れてきた。「御国のためということで、人のいやがる軍隊についうっかりと志願で入ってしまい、かわいいすーちゃんと泣き別れになってしまった男」の歌である。いわゆる軍国歌謡というやつだ。これを青江三奈さんが歌っていた。思わず足が止まった。わたしは軍歌、軍国歌謡が大好きで、むかしから、レコード全集やらソノシートやらを集めていた。だが、青江三奈さんの歌う「すーちゃん」は、好きとかどうとか、そういう感情を超えて、すばらしい歌だった。町なかだというのに、わたしはその場に留まったまま、それを最後まで聴いた。この歌は、この人が歌うためにつくられたのではないか。そうとまで思った。それほど、あのハスキーな声とこの歌はみごとにマッチしていた。
 青江三奈さんのご冥福を心からお祈りいたします。

 どうでもいい追記。
 ダーティペアFLASHの「天使の悪戯」という作品で、英語題名をつけるとき、わたしは「Dirty Pair bread and wine」というタイトルを主張したが、「そんなの、誰にもわからない」という編集部の一言で、却下されてしまった。残念である。




 2000/07/09 (Sun)

「発掘あるある大事典 苦手克服! すぐに役立つ英会話」フジテレビ 毎週日曜日21時〜21時54分
 けっこう参考になったなあ。これまで、なんだこれという内容が多かったのだが、今回は、タイトルどおり役立つ番組になっていたと思う。ただし、英語と日本語における周波数の違いは、今回はじめてわかったような扱いをしていたけど、これは大嘘である。ちゃんと前からわかっていたことで、その修正のためのスクールも存在している。英会話の問題ではなく、高音域が落ちる障害そのものに困っていたわたしは、6年ほど前にそれを受講した。料金、すごく高かったんだけどね。それについては、ASCIIに書いたエッセイを読んでいただきたい。外国語と日本語とで、周波数がどれくらい違うかとか、耳の修正にモーツアルトが適しているとか、そういうことも、そこでちゃんと教えてくれる。これについては、この番組にオリジナリティはまったくない。こういうことを平然とやるあたりが、「週刊文春」でテレビが思いっきり批判されてしまうもとになっているのだろう。ぱくったのなら、きちんとぱくったと白状しなさい。わかる人にはわかってしまうことなんだから。




 2000/07/09 (Sun)

「NHKスペシャル2000 四大文明 第1集 そしてピラミッドがつくられた〜エジプト」NHK総合 21時〜22時
 5回シリーズの1回目。いきなりピラミッドの謎を明快に説明してみせた。奴隷を集めてむりやりつくらせたのではなく、ナイルの氾濫により4か月ものあいだ農業ができなくなる国民に職を与えるためにおこなわれた定期的な公共事業であるという説は、傾聴に値する。何よりも論理的であり、実証的である。つくられたときは使用目的のはっきりとしないモニュメントであったという考察も、十分に納得できる。そして、後にそれが地方分散型の公共事業である神殿建設へと移行していく過程も、ひじょうにわかりやすい。科学的な分析とは、まさしくこういうことをいうのである。デニケンとか、グレアム・ハンコックのような脳味噌のかけらすら持ち合わせていない、いいかげんな連中の説とは、ここが根本的に異なっている。たしかに何も調べることなく、宇宙人のしわざとか、古代超文明の産物だとか言い散らしていれば、楽である。頭を使う必要もないし、馬鹿が争って本を買ってくれたりするから、適当にお金にもなる。だが、それはそれだけのものだ。何も証明していないし、何も語ってなどいない。からかう楽しみを奪ってしまうので、トンデモ本の愛好家の方々には申し訳ないのだが、この手のいかがわしい連中は可能な限り撲滅されなければいけない。そのためにも、こういう番組は、機会があるごとに、何度でも放送してほしい。それがNHKのつとめというものである。




 2000/07/10 (Mon)

「スポコン!」テレビ朝日 毎週月曜日19時54分〜20時48分
 アントニオ猪木 vs モハメド・アリ戦のリバイバル公開である。当時、あれを凡戦といった人がたくさんいたが、わたしのまわりにいる格闘技マニアは、誰ひとりとして、あの試合をけなさなかった。とにかくアリが来日するまで、本当に実現するかどうかわからなかった試合なのである。しかも、あのとんでもないルールだ。そもそも試合がまともに成立するとは思えない状況であった。しかし、試合はおこなわれたし、それは、本物の真剣勝負になった。よくやったよ、この試合。それだけでいいんじゃないかな。




 2000/07/11 (Tue)

「STRANGE DAWN」WOWOW 毎週火曜日18時30分〜18時58分
 アニメの新番組である。異世界にいきなりきて(呼ばれて?)しまった女子高校生(だと思う)ふたりのアナザーワールド・ファンタジー(だろう)。いわゆるお約束の設定だけど、おもしろい。第1話のつくり方としてはかなり変則的だが、構成がうまいので、きちんと形になっている。以降の展開がひじょうに楽しみだ。でも、素足で水浴びしたあと、彼女があわてて飛びだしてくるカットで、すでに黒いストッキングをはいているってのはどうかな。ここはリテイクをだしてほしかった。演出は大胆かつ緻密な構成と、細かい気遣いの積み重ねである。こんな些細なことをわざわざ瑕疵として指摘するのは、もちろん今後を期待しているからだ。裏切らないでね。




 2000/07/13 (Thu)

「FNNスーパーニュース」フジテレビ 月−金17時54分〜19時
 産經新聞朝刊のテレビ番組表に、以下のように記されていた。引用しよう。
「夏の食卓に忍び寄る恐怖の細菌…皮膚が筋肉が腐り激痛の果ての死…人食いウイルス感染者急増…死の瀬戸際からの生還者が語る悪夢の体験」
 でたらめである。どうして、細菌がいきなり途中からウイルスになってしまうのだ。こんな馬鹿な記述、新聞に載せた時点でクレームをくらい、放送ではちゃんと修正されているはず、と思ったら、ぜんぜんそうなっていなかった。特集のあいだじゅう、画面右上にずうっと表示されていたキャッチスーパーが「忍び寄る恐怖 人喰いウイルス」になっている。病気の原因となっているのはビブリオ菌の一種、ビブリオ・バリニフィカスだ。いうまでもなく、細菌=バクテリアである。ウイルスではない。特集の最後には「人食いバクテリア」というキャッチスーパーも表示された。これが、さらに混乱を助長させる。ナレーションも「細菌」と「ウイルス」がごちゃまぜになった意味不明のものであった。こんな杜撰なレポート、誰がまともに信じると思っているのだろう。が、それでも、わたしは特集終了後の訂正に期待していた。木村太郎キャスターがこの間違いに気づいていないはずがない。あとでコメントを求められたときに、必ず「細菌とウイルスを混同していた」という指摘があるに違いないと思っていた。
 でも、それはなかった。がっかりである。木村キャスター、信頼を大きくそこなった情ない瞬間である。
 あまりにあきれたので、フジテレビに電話してしまった。案の定、局はクレームの山だったらしく、電話にでた人はすぐに「間違ってました」と謝りだした。でも、ちょっと遅いんだよね。番組が終わるときに安藤優子キャスターが訂正をだしていたが、これもはっきりと「細菌とウイルスは別物です」と言わなかったのが気になった。こういうことを正しく伝えていくことも番組の役割じゃないかな。しっかりと反省してほしい。




 2000/07/13 (Thu)

「にんげんドキュメント 千年の釘に挑む」NHK総合 毎週木曜日21時15分〜22時
 思いがけない危険物(7月8日の「ブロードキャスター」を参照のこと)であった。職人が取りあげられている番組は、とりあえず見る。わたしも洋服職人の息子だ。職人の仕事については、特別視している。優先的に視聴するようにしている。
 本編の主人公は、四国松山の鍛冶屋だ。昭和の名工、宮大工の西岡常一棟梁に見出だされ、薬師寺再建のため、千年以上に及ぶ耐久性を備えた釘づくりを依頼された鍛冶屋である。この人は、その千年の釘を20年にわたってつくってきた。工夫し、研鑚を積み、これならば千年を生きるであろうと完成させた釘の値段が1本、600円である。精根こめて打たれた釘による月の収入は、13000円。こんな情ない国がどこにある。さっさと国会議員を減らせ。参議院を廃止し、衆議院の定数を3分の1にしろ(各都道府県ごとに定数3人。これで十分だ)。それでようやく世界の国々の国会議員総数と比率的に同程度となる。そして、浮いた予算をすべて職人たちにまわせ。それをしても、日本の国政にはなんの影響もない。賭けてもいい。絶対にこれまでどおり……というか、これまで以上に効率的に国家を運営できる。わたしはラストシーンでテレビ画面を拝んでしまったぞ。サミットの準備なんぞそこらの官僚にまかせて、首相はこういう番組を逃さずに見てくれ。見て、恥を知ってくれ。
 再放送予定日 7月19日(水曜日)NHK総合 24時15分〜25時。ここを読んで、「あ、これは見たかったという番組がいくつかある」という声を耳にしたため、再放送予定がわかるものについては、今後、その情報を書いておくことにします。




 2000/07/14 (Fri)

「メダロット魂」テレビ東京 毎週金曜日18時〜18時半
 先回、作画の安定について書いたが、今回も、ぼろぼろ。それどころか、さらにひどくなっている。デッサンだけでなく、レイアウトがまともにとれていないのには、さすがにあきれた。制作がトランス・アーツに移ったことで、改善される見こみなしという意見も世間にはあるらしいが、どうなのだろう。とりあえず、予告篇を見た限りでは、来週の作画は少しまともになっているような気もする。評価において、作画そのものの位置はそれほど高くはない。でも、レイアウトも含めた画面構成全体の乱れとなると、事情は大きく違ってくる。これは作品の質を左右する根本的な問題だ。至急、対策してもらいたい。




 2000/07/14 (Fri)

「ターニングポイント」テレビ朝日 毎週金曜日20時54分〜21時48分
 あやうく見逃すところだった。風邪で寝こんでいるので、少しチェックが甘くなっている。
 今回のトップはジョン・ウー監督の特集。「M:I-2」公開の兼合いもあっての企画なんだろうが、やはり小林旭さんと会うシーンは圧巻だった。いきなりひざまずいちゃうんだもんね。こういう純粋そのものの挙措って、本当にいいなあ。でも、番組ホストのひとりとして、これを見ている宍戸錠さんの表情はちょっと複雑。わたしも日活映画なら、旭よりも裕次郎よりも、エースの錠がいちばんという口であった。ジョン・ウー監督、旭と組んで映画を撮るのなら、錠も忘れないでね。二丁拳銃は、この人のほうが似合っているよ。




 2000/07/15 (Sat)

「岩合光昭のネイチャーワールド アフリカゾウ」NHK衛星第2 19時30分〜20時25分
 写真家の岩合光昭さんによるアフリカゾウの生態レポート。けっこうほのぼのとした内容で、楽しめる番組なっていた。民放の番組によくある大仰なナレーションを使ったお涙ちょうだい型の構成でないのが、とくによかった。民放のやつは、悲しくなるどころか、ただむかつくだけで、危険物にもなりゃしない。しかし、この番組、交尾のシーンになるとゾウが動いてしまい、その瞬間はブッシュの蔭に入ってしまうのがおかしかった。これってよけいに淫靡である。ゾウのペニスがすごくって、しっぽか足がもう1本増えたような感じでぶらぶらしているのをたっぷりと撮影しているのに、マウンティング状態になるとブッシュが手前に映りこむ。偶然なんだろうけど、ナイスなタイミング。野生相手の映像作品は、こういうおもしろさがあるので、油断がならない。




 2000/07/16 (Sun)

「GTO」フジテレビ 毎週日曜日19時30分〜19時58分
 いやもう、このおたく描写のリアリティときたら、ちょっとあきれてしまうね。こういう部分部分を徹底的にリアルにするから、内容のほとんどがあからさまにフィクションになっていても、ストーリーがとりあえず動いてしまうのかな。しかし、権利関係もあるだろうに、よくやるよ。ガンダムおたくの生徒役にわざわざ古谷徹さんを起用して、その名前を「白井木馬」にしておくんだもん。あれこれ借りまくってきている音楽ともども感心しました。やっぱ、遊ぶのなら、ここまでやってくれないとね(注・原作がどうなっていたとか、そういうことはどうでもいい。これはテレビアニメ化における表現の意味の問題だ。漫画でできても、諸般の事情でアニメには使えないネタが山のようにある。それを、どのレベルでクリヤーするのかが重要なのである。局の圧力に負け、もっとも低いレベルで妥協してしまったのが「ラブひな」だ。「ラブひな」あるがゆえに、「GTO」のチャレンジは、より賞賛に値するものとなる)。




 2000/07/16 (Sun)

「たけしの地上最大のハリウッド大作戦〜緊急指令ユニバーサル・スタジオ・プロジェクト発動!」TBSテレビ 22時〜23時24分
 大阪にできるユニバーサル・スタジオの事前宣伝タイアップ番組らしい。日本映画界の貧しさがよくわかる。貧しいから、映画を構成する要素のうちのほんの一部だけをつまみとり、それをテレビの番組としてつくって、その中に日本人の役者をむりやりはめこんでいる。ハリウッドのスタッフを徹底的に使いまくって、超大作の映画を1本つくろうという発想はどこからもでてこない。絶対にできないことへの憧れを、84分のささやかな番組にまとめ、仕立てあげた。それがこれである。もう少しおもしろい企画かもしれないと思って見たのだが、期待外れであった。
 ところで、オーランドのユニバーサル・スタジオの動物ショー、わたしが何年も前に見たときと内容がまったく同じだった。こういうのって、ぜんぜんプログラムを変えないのね。リピーターがいないという前提で運営しているのかな。




 2000/07/18 (Tue)

「開運!なんでも鑑定団」テレビ東京 毎週火曜日21時〜21時54分
 大觀がでた。これがきょうのすべてだね。画題がいい。わたしも思わず、本物であってほしいと願ってしまった。まあ、1千万支払って「1万円」なんて値づけをされてしまう人の顔もちらとは見てみたかったけど、これはこれで十分にめでたい。しかし、本当にあるんだなあ。大觀なんて、贋物しかでてこないものと思いこんでいた。ギャラリー・フェイクの影響であろうか。つぎは應擧の出現に期待する。




 2000/07/19 (Wed)

「Niea_7 最終回」WOWOW 毎週火曜日18時半〜19時
 おい、これでおしまいかよ。ニアちゃん、困っちゃうなあ。30年くらい前は「ガロ」や「COM」で、こういう作品も流行ってたんだけどね。懐古趣味は設定だけにしてほしかった。最初は、もう少しきちんとつくってもらえるんだろうと思っていたのだが、やはり無理だったかという感じ。好き嫌いで言えば、嫌いな展開ではない。しかし、そういうものと評価は、べつにせざるをえない。こんなので、これが作品として成立しているとは、誰も思わないと思う。




 2000/07/19 (Wed)

「ばらえ亭JAPAN3 天才腹話術師 いっこく堂の挑戦」NHK衛星第2 19時35分〜20時55分
 いっこく堂がラスベガスで公演した様子が放送されるというので、楽しみにしていた。基本的にいっこく堂の芸は、リズムがよくない。これは、言葉に言葉をかぶせられないという腹話術の宿命だと思っていた。でも、ラスベガスのアメリカ人腹話術師の芸を見て、認識が変わった。リズムが悪いのはいっこく堂の未熟のせいである。かなりほっとした。これなら、まだまだいっこく堂の芸は伸びる。壁にぶつかってなどいない。アメリカ人腹話術師の芸は、腹話術という部分のみに限っていえば、いっこく堂に劣る。唇もかすかに動いていたし、目を瞠る技もない。しかし、リズム、話術のレベルはひじょうに高い。いっこく堂がつぎに獲得するのは、このリズムである。世界は近い。ネタを一新し、最高のリズム感覚を身につけてほしい。ださいサミット・レポートなんか、たらたらとやっている場合じゃないよ。




 2000/07/19 (Wed)

「インターネット3 ネットサーフィンの楽しみ」NHK教育 毎週水曜日21時35分〜22時
 もはや死語になっていると思っていた「ネットサーフィン」だけど、NHK教育ではまだ生きていたのね。今回はゲストが糸井重里さんになっていたので見てみた。司会の大桃美代子さんから「ネットサーフィン」と言われるたびに浮かべていた糸井さんの複雑そうな表情が印象的。たまには、こういう時代からずれてしまった番組を見てみるのもおもしろい。いくらずれているといっても、森首相のそれよりは、まだましだしね。




 2000/07/20 (Thu)

「動物王国30年企画2 ムツゴロウとゆかいな仲間たち 大アマゾンびっくり動物大探険」フジテレビ19時3分〜20時54分
 畑正憲さん、ライオンに中指を食われたと聞いたので、見ることにした。野次馬まるだしである。とにかくピューマだろうが、食肉魚だろうが、気にせずに口の奥へと指を突っこむ。蟹にも指をはさまれていた。これじゃ、食いちぎられるはずだよ。というか、いままでよく無事だったなあ。指どころか、両腕、両足がちゃんとそろっているのが不思議なくらいである。ミミズでも生肉でも、かまわずにがしがし食うし、沼や泥の中にも、素足で平気で入っていく。虚弱なわたしには、とてもマネできない。極地愛好作家の夢枕獏さんもこんな体質なんだろうね。どうりで、どこに行っても生きてちゃんと帰ってくるはずである。しかし、こういう人たちがいるおかげで、わたしは自室から一歩も動くことなく、世界各地の情報や映像を手に入れることができる。ありがたい話だ。こういう人たちには、ぜひ長生きしていただきたい。そして、どんどん珍しい映像を届けてほしい。よろしくお願いします。




 2000/07/21 (Fri)

「レディス4」テレビ東京 月−金16時〜16時55分
 ゲストは評論家の富山和子さん。立正大学の教授となっている。水と森の話というから、いつもの無意味な環境保護話かと思い、流して見ていたら、ぜんぜん違っていた。「外材の輸入をやめよう」「日本の木材を切ろう」「割箸はどんどん使おう」「このままでは日本の山が滅びる」「すぐに伐採しなければ、木々がすべて枯れてしまう」など、丁寧な口調で、堂々たる正論を展開されている。すばらしい。「かわいそう」とか「使い捨てはもったいない」とかいった、まぬけな感情論はいっさいない。日本の農業、林業の実情をきちんと調べた上で導きだされた、これこそ本物の意見である。傾聴に値するとは、このことだ。そこらあたりの環境保護団体がぎゃあぎゃあとわめき散らす、雑な言いがかりとはまったく異なっている(いまは沖縄で騒いでいるらしい。まったくうっとうしい連中だ)。わたしがプロデューサーなら、この主張を全面的に生かした番組をひとつつくるね。馬鹿に引きずられて、割箸をやめ、塗り箸をだしている食堂があるらしいが、その手の思考力欠如店主にまず見せてやりたい。あ、もともと思考力がないのだから、見せても無駄かな。




 2000/07/21 (Fri)

「メダロット魂」テレビ東京 毎週金曜日18時〜18時半
 ぐわわ。前言撤回。今回もだめ作画だった。ローテーションからいくと、あと1チームくらいかな。来週だめなら、作画チーム全滅で、今期はまったく評価できないレベルとなってしまう。本当に残念だなあ。あ、今回は、ストーリーも、演出も、だめだめでした。展開が間延びしっぱなし。この調子でつづくのなら、視聴する必要もなくなってしまいそう。




 2000/07/21 (Fri)

「BRIGADOON まりんとメラン」WOWOW 毎週金曜日19時30分〜20時
 新番組の第1回。例によって、設定も状況も、まだよくわかっていない。展開のリズムは、真ん中あたりで少しだれたけど、謎の敵に追われて神社に到達するまでのシークエンスなどは、かなりよかった。1回目としての構成も、最近の作品としてはそこそこにととのっている。なによりも、テレビ東京には絶対につくれない作品であるところがよい。それと、明るく楽しくつくられているところに好感を持った。暗くて深刻ぶった作品は(大傑作でない限り)、誰にでも、それなりにつくることができる。独自の世界を築く力を有した米たに監督には、より高度な力量を必要とされる、明るく楽しい作品にチャレンジしていってほしい。それがきちんとできる監督が、驚くほど少ないんだよ。なお、総合的な評価は、当然のこととして、後日に送る。このまますっきりと、さわやかにつづいていってくれるといいんだけどなあ。




 2000/07/21 (Fri)

「たけしの誰でもピカソ」テレビ東京 毎週金曜日21時〜21時54分
 美空ひばり特集。もちろん、わたしはひばりの全曲CD集を持っている(「びっこの七面鳥」は入っていないけど)。ラック付きの豪華箱入りセットである。ちなみに、わたしの1位は「真赤な太陽」。やっぱり明るい歌じゃないとね。そういう意味ではたけしの1位が「港町十三番地」というのは、納得できる。でも、じっくり聴きましょうといってワンコーラスだけってのはないだろ。フルコーラス、流してよ。
 ところで、ゲストの小林幸子さん、ちょっと下品。歌うとき以外は口をひらかないほうがいいんじゃないかな。わたし、小林さんが「暗闇五段(寺田ヒロオさん原作の柔道漫画をテレビドラマ化した作品)」に出演されていたときから注目していたんだから、それくらい言ってもいいよね。




 2000/07/21 (Fri)

「ドキュメント地球時間 アメリカ先住民族の謎〜9000年前の人骨は語る」NHK教育 毎週金曜日22時〜22時45分
 アメリカで発見された9000年から9400年前の人骨をめぐる謎解きと、それに伴う紛争のレポート。問題は、この人骨がネイティブ・アメリカンのモンゴロイド的なそれではなく、コーカソイド的な特徴を多く備えていたこと。これにより、南米アメリカ大陸の人類史が大きく変わろうとしているのだが、どっこいそうはいかない。アメリカには、ネイティブ・アメリカンの祖先の遺体は、ネイティブ・アメリカンに引き渡して埋葬するという法律があり、人類史研究のための重要な調査が不可能になっているというのだ。アメリカってのは、実に論理的ではっきりした社会を形成しているんだけど、ことこれが人種問題にひっかかるとなると、いきなり馬鹿になってしまう。よくいえば、少数民族の価値観を重要視するってことになるのかな。でも、そのわりには、日本の重要な文化である捕鯨に因縁つけてくれるのだから、傍痛い。要するに、この部分については、アメリカ人は単なるいいかげんな連中に成り下がってしまうのである。こんなことで重要な学問(番組では人類学史上屈指の大発見と言っていた)が妨げられてしまうなんて、実にへん。
 で、この人骨がどの人種にいちばん似ているかということ、これが日本のアイヌ民族なのである。アイヌ民族はモンゴロイドではなく、コーカソイド的人種なのね。たしかに世界大百科事典にも、それを示唆する記述がちゃんと存在している。つまり、アメリカ大陸には、まだ氷河期が終わらないうちに、アイヌ民族なんかと同じコーカソイド系の人類がまずやってきた。そして、それから数千年経って氷河期が終わりかけたころに、今度はアジア大陸内奥部にいたモンゴロイドの一族が大挙してやってきた。その結果、ネイティブ・アメリカンはモンゴロイド系が主流になったと、まあ、そういうことらしい。しかし、人骨を政府に奪われてしまい、アメリカの科学者は、この研究を続行できない状態にある。驚いちゃいますね。当然、行き着くところは、アメリカお得意の裁判合戦。こうなったら、つぎは、この裁判のレポートを詳細に放送してくれないかな。ここまできてしまうと、どちらかといえば、こちらのほうがおもしろそうである。




 2000/07/22 (Sat)

「NHKスペシャル 360年目の決断〜アルプス山麓のキリスト受難劇」NHK総合 21時(21時35分)〜21時50分(22時25分)
 360年の伝統を持つ、ドイツ、バイエルン州の小さな山村でおこなわれきたキリストの受難劇。10年に1度演じられる、この舞台劇が第二次世界大戦後、ユダヤ人から痛烈な批判を浴びた。ナチスが、この受難劇をユダヤ人迫害運動に利用したからだという。聖書の「マタイによる福音」を読めばよくわかるが、キリストはユダヤ教徒の告発により捕えられ、ユダヤ人群衆による「死刑にしろ」の声を受けて十字架にかけられた。そのもっとも焦点となっているせりふが以下の部分である。新共同訳聖書と新改訳聖書から同じところを引用しよう。

 聖書 新共同訳 電子ブック版「マタイによる福音書」27章24節、25節より引用

 27:24 ピラトは、それ以上言っても無駄なばかりか、かえって騒動が起こりそうなのを見て、水を持って来させ、群衆の前で手を洗って言った。「この人の血について、わたしには責任がない。お前たちの問題だ。」
 27:25 民はこぞって答えた。「その血の責任は、我々と子孫にある。」

 27:24 When Pilate saw that it was no use to go on, but that a riot might break out, he took some water, washed his hands in front of the crowd, and said, "I am not responsible for the death of this man! This is your doing!"
 27:25 The whole crowd answered, "Let the responsibility for his death fall on us and on our children!"

 (c)共同訳聖書実行委員会
   ExecutiveCommittee of The Common Bible Translation
 (c)日本聖書協会
   Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988
 (c)Today's English Version Bible, Second Edition American Bible Society, New York 1992

 聖書 新改訳 英語新欽定訳 電子ブック版「マタイによる福音書」27章24節、25節より引用

 27:24 そこでピラトは、自分では手の下しようがなく、かえって暴動になりそうなのを見て、群衆の目の前で水を取り寄せ、手を洗って、言った。「この人の血について、私には責任がない。自分たちで始末するがよい。」
 27:25 すると、民衆はみな答えて言った。「その人の血は、私たちや子どもたちの上にかかってもいい。」

 27:24 When Pilate saw that he could not prevail at all, but rather that a tumult was rising, he took water and washed his hands before the multitude, saying, "I am innocent of the blood of this just Person. You see to it."
 27:25 And all the people answered and said, "His blood be on us and on our children."

 (c)日本聖書刊行会 発売元 いのちのことば社
 New King James Version, Copyright(c)1982, Thomas Nelson, Inc. ALL rights reserved.

 イエスの血(死)に対する責任を、いまに至ってもユダヤ人の子孫が負っているという意味を有するせりふである。受難劇には、このせりふがほぼそのまま用いられている(表現的には新改訳のほうが近い)。それをユダヤ人は嫌った(注・クレームをつけられているのは、ここだけではない。ほかにもたくさんある。しかし、ここが代表的な問題箇所である)。
 劇の脚本家、演出家は、せりふを大幅に変更した。上記せりふもカットされた。それでもなお、上演後にユダヤ人の代表者は言う。「ユダヤ教徒がキリストの死を迫るシーンが残っていた。ユダヤ人を非難する内容そのものに、変化はない」と。
 どうにも理解できない部分がある。多くの人が指摘していることだが、イエスは当時、間違いなくユダヤ教における異端者であった。そして、ほとんどペテン師同然に扱われていた。いまでいうカルト教団の教祖である。実にいかがわしくて、怪しい存在であった(もちろん、キリスト教徒にとっては、その正反対の存在である。偉大な救世主であり、神の御子として地上に降臨された方である)。それに対して、敬謙なユダヤ教徒は対抗処置をおこなった。それが、いわゆるキリストの受難だ。これは、後のキリスト教徒にしてみれば、とんでもない暴挙である。キリスト教徒の聖典である新約聖書でユダヤ教徒をぼろくそにけなすのは当然のことだ。しかし、当時のユダヤ教徒にしてみれば、これは極めて常識的な判断である。大勢力となった、あぶない異端者を叩くためには、こうするしかなかったことだろう。
 にもかかわらず、これがナチスによるユダヤ人迫害の根拠を与えるものになったとして、ユダヤ人は劇の内容について修正を求めた。ここが、わたしにはわからない。ユダヤ教徒には、ユダヤ教徒としての誇りがあるはずだ。かれらの祖先は、あのとき間違ったことをしたわけではない。キリスト教徒にとっては許しがたい行為だが、ユダヤ教徒にしてみれば、正当な行動となる。ユダヤ人はなんら恥じることはない。胸を張って「そのとおりだ。で、それがどうした」と言いきればいいのである。祖先の行為を辱しめてはいけない。かれらは、その時点でやるべきことをやった。それだけのことである。かれらにとってくやしいことに、そのことが後に過酷なユダヤ人迫害を招いたかもしれないが、それも宿命である。神の試練のひとつである。従容として受け入れるべきことではないだろうか。
 受難劇は改変され、上演された。見ていたわたしには、大きな不満が残った。




 2000/07/23 (Sun)

「サミットの料理人 日本代表シェフの闘い」フジテレビ 16時〜17時
 民放型の大袈裟な内容と演出のドキュメント。沖縄サミットの料理プロデュースをまかされた「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナーシェフ、三國清三の密着レポートである。すごくやらせっぽい場面がつぎつぎとでてくる。締めくくりのクライマックスは、師匠である村上信夫シェフによる味見。いやもう、実にわざとらしい展開。しかも、番組は、この味見で終わってしまう。げげ、サミット本番のレポートはないのね。
 ところで、サミットがはじまる前に、フジテレビは、FNNスーパーニュースで「サミット晩餐会のメニューを探る」とかなんとか言って、三國シェフを追っかけているシーンを放送していた。そのときシェフは「本番メニューは秘密です」なんて言っていたが、なんのことはない、当のフジテレビは食材探しも含めて、すべてを密着取材していたのである。やれやれ。いつもながら、テレビ屋は油断がならない。




 2000/07/25 (Tue)

「火曜ワイドスペシャル 反町隆志が泣いた アフリカ最高峰・キリマンジャロに挑む」フジテレビ 19時〜20時54分
 つまんない番組。いや、登山がじゃないよ。番組がつまんないってこと。たとえば、同じ企画をムツゴロウ先生主役で撮ったところを想像してみてほしい。たぶん、これの100倍くらいおもしろい映像作品に仕上がると思う(コンセプトは、かなり違っちゃうけど、そもそも、これのコンセプトがよくないから、そうなる)。単なる苦労、素朴すぎる驚きは、視聴者の興味を何も刺激しないのだ。素材があれば、なんでも番組にすりゃいいってもんじゃないね。反町さんは、前のエベレスト同様、今回もプライベートでキリマンジャロに登るべきだった。おかげで不出来で退屈な素人登山ルポ番組の好サンプルをつくってしまった。やれやれ。




 2000/07/25 (Tue)

「ETV2000 シリーズ沖縄 神秘の海に生きる」NHK教育 毎週火曜日22時〜22時45分
 予告に「謎の海底ピラミッド」とあったので、与那国島の海底遺跡レポートかと思っていたら、違っていた。海底遺跡の部分は6分くらい。あとは、漁師の生活のルポルタージュである。しかし、島独自の漁のレポートなど、けっこう興味深く見ることができた。で、肝腎の海底遺跡だが、かれこれ10年近くも調査をつづけているのだから、もう少しいろいろな資料を見せてもらえないだろうか。たとえば、測量結果をもとにしたCG映像をつくり、遺跡の全体像を一目で見渡せるようにするとか。そういう視覚的効果の開示をやってほしい。あの見づらい海底撮影の映像では、何がどうなっているのか、さっぱりわからない。総合的な構造がはっきりすれば、人工のものかそうでないのかが、もう少し判断しやすくなるような気がする。NHKなら、できない話じゃないでしょ。このままだと、あまりにも中途半端である。




 2000/07/25 (Tue)

「ヨーロピアン ライフ 巡礼の夏 診療所を守る騎士団〜ローマ」NHK衛星第1 毎週火曜日24時〜24時20分
 番組表の騎士団という文字を見て、見ることにした。でも、かなり予想と異なっていた。現代の騎士団は、儀式のときを除けば、ふつうのボランティアな人びとである。取材対象となったのは、マルタ騎士団。ローマに本部があり、そのビル内部は世界85か国において、独立国家として認められている(日本は未承認)。世界最小の国じゃないかな。多くのキリスト教系騎士団の例に漏れず、マルタ騎士団も血に濡れた戦いの歴史を背負っているが、いまの団員は、ただひたすらにボランティアに励んでいる。取材地は、バチカンのサンピエトロ寺院。ここを訪れる夏の巡礼者を対象にして、無料の診療所を運営している騎士団の様子を、番組は短い時間ながら、丁寧に描いている。しかし、騎士団そのものの実体まではさすがに伝わってこない。より詳しいレポートの放送を求めたい。




 2000/07/26 (Wed)

「ハンドメイド・メイ」WOWOW 毎週水曜日18時30分〜19時
 なに、これ? 素人の習作?




 2000/07/26 (Wed)

「地球に乾杯 シャーマンの秘薬〜アマゾン・薬草を探る植物学者」NHK総合 毎週水曜日23時〜23時50分
 植物学者一家が、アマゾンに住むインディオのシャーマンが使っている植物の調査に行った、その記録。インディオが用いている植物は、薬品の宝庫である。漢方薬や和薬と同じね。メカニズムは不明だけど、各種の病気に対して、経験的に効果があることがわかっている。それらの植物を採取し、使用法も習った後に成分分析をして、そこからガンやエイズにも効く新薬の素を見つけだそうというプランだ。しかし、そういう思惑とはべつに、インディオの生活やシャーマンのキャラクターが実に魅力的である。個人的には、ああいうところには行きたくないし、ああいう生き方にもまったく興味はない。が、自宅で眺めているぶんには、とても楽しいし、感銘も受ける。50分の過ぎるのが早かったほどである。
 ところで、主役となったシャーマン(男性)だが、推定年齢75歳だという。インディオとしては、かなり高齢なのではないだろうか(外見は50歳くらいにしか見えない)。にもかかわらず、まだ後継者がいなくて、300種類にも及ぶ薬草の知識なんかを誰にも教えていないらしい。それ、ちょっとまずいんじゃないの。他人事ながら、そこがやたらと気になってしまった。
 ところで、これ、もともとはNHK衛星第2で「地球に好奇心」として、再放送も含めて2回ほどオンエアされた75分枠の作品である。地上波になると、タイトルが変わり、25分ほどカットされてしまう。少し残念ね。




 2000/07/27 (Thu)

「トップランナー」NHK総合 毎週木曜日23時〜23時45分
 ゲストは桜庭和志選手。すごくいいのと、すごく悪いのが半分ずつというおもしろい番組になった。いいのは、じっくりと桜庭選手自身が試合のことや技のテクニックについて語ったこと。民放の番組だと、このあたりが時間の制限でおざなりになってしまうので、これはNHKの勝利。悪いのは、桜庭選手のネタについていけないふたりの司会者。桜庭選手のネタも相当に滑っていたんだけど、ネタとも、はぐらかしともつかぬ言葉がでるたびに、司会者がふたりとも黙りこんでしまう。これはひどい。ゲストに対する引きだしが少なすぎるのね。司会者は、どちらも格闘技が苦手なんじゃないのかな。その上で、NHKという制約からくるネタへの反応の遅れが、空白の多い、たどたどしい時間を形成してしまった。そういう感じである。司会者を変更して、もう一度つくり直してくれるといいね(不可能だけど)。企画そのものは、とてもよかったのだから。




 2000/07/28 (Fri)

「メダロット魂」テレビ東京 毎週金曜日18時〜18時半
 いやあ、よかった。ようやくまともな作画を見ることができた。ママの立ち姿のチャーミングなこと。話はすごくありふれたどたばただけど、作画がまともというだけで、それなりに楽しく見ることができる(スローモーションシーンなんて、これまでの作画だったら、悲惨なことになっていたもんね)。作監は氏家章雄さんか。覚えておこう。これで、今回のシリーズも、たまには先回並みの作品の視聴が可能だとわかった。重畳、重畳。




 2000/07/28 (Fri)

「BRIGADOON まりんとメラン」WOWOW 毎週金曜日19時30分〜20時
 2回目。前回よりもさらにリズムがいい。ギャグもべたなレベルなんだけど、おもしろく見せている。アニメというよりも、いわゆる漫画映画って感じね。とてもグッドである。しかし、某所より、この先は陰惨ないじめシーンのつづく暗いものになりそうという情報も入ってきた。それは避けてほしい。そんな展開は、そこらあたりの二流ドラマにまかせておけばいいのである。




 2000/07/28 (Fri)

「ルパン三世 1$マネーウォーズ」日本テレビ 21時3分〜22時54分
 ルパン三世の長編は「カリオストロの城」以外はすべて外れである。ひとつとして、これはという作品がない。今回も、冒頭からいきなり、オークションで1ドルの差による落札なんて、でたらめなシーンがでてくる。どうして、こういう馬鹿な設定を平気でだしてくるのだろう。斬鉄剣でビルのフロアをぶちぬくのはいい。あれはそういう演出なのである。しかし、設定は違う。それは作品の内容と質を左右する。そんな基礎の基礎もわかっていないスタッフがつくっているのか、と心底がっかりしてしまった。
 というわけで、またもやルパン三世の長編は外れである。途中でちょっと持ち直すかなというきざしもあったのだが、結局は、だめだった。せりふと構成がもたもたしていて、あらゆるカットに切れがないのが致命的だね。もっと才能のある人につくらせる気はないのかなあ。いい素材なのに、惜しい。




 2000/07/29 (Sat)

「NHKスペシャル 室生寺五重塔はこうしてよみがえった」NHK総合 21時〜21時50分
 平成10年9月の台風で室生寺の五重塔が損壊した。この番組は、その修理の記録である。わたしが室生寺に行ったのは、高校3年生のときじゃなかったかな。きっかり30年前のことだ。民宿に泊まりながら、飛鳥、奈良のあちこちをめぐってきた。こういう番組を見ていると、いろいろ思いだしちゃうね。
 で、修理工事なんだけど、怪我の功名という言葉がある。今回の修理はそれに近いものがあったんじゃないだろうか。こういうことでもないと、国宝の建築物を細かく調べたり、いじったりすることはできないのだから。しかし、五重塔損傷ってついこのあいだのような気がしているのに、もう丸2年近く経っていたのね。高校時代の思い出も含めて、しみじみと時間の流れるのが速い。誰か、ちょっと止めてくれ。でないと、21世紀になったら、時間が滝となってなだれ落ちてしまうよ。




 2000/07/29 (Sat)

「サイエンスアイ 21世紀のテクノロジー2〜ナノテクノロジーの驚異」NKH教育 毎週土曜日23時30分〜24時15分
 ああ、いらつく。細かい仕事をちまちまやるのがいちばん苦手なんだよお。スタジオぬえでイラスト班のアシスタントに入るときも、点描だけは逃げてたんだよお。だけど、21世紀にはこれをやらないといけないみたいなんだよお。
 というわけで、ナノテクノロジーの最前線の紹介。原子ひとつひとつを少しずつ動かしていくなんてシーン、お尻がむずむずしてきて、とても耐えられない。今後は、もっと大雑把な特集のときだけ見るようにしよう。でも、カーボンナノチューブや分子マシンの説明はおもしろかった。やはり、文字情報よりも、こうやって映像で見るのがわかりやすくて楽である。




 2000/07/30 (Sun)

「知ってるつもり?! ヒトラー暗殺計画 独裁者を狙った男達」日本テレビ 毎週日曜日21時〜21時54分
 42回にも及んだアドルフ・ヒトラー暗殺計画のいくつかをひとつひとつ紹介している(もちろん、すべて失敗)。企画の狙いはなかなかいい。フィルム構成もわりといい。しかし、司会者、アシスタント、ゲストがぼろぼろ。このネタを仕切れるほどの知性と教養を有している者が皆無だった。企画をだした人、惜しいね。もう少しまともな出演者のいる番組でやれればよかったのに(民放にはないけど)。なにしろ、誰が見てもはっきりとわかるヒトラーとチェンバレンの駆け引きの場面、いま北朝鮮がやっている外交取り引きそのままだっていうことについて、ひとりもコメントしないんだもん。歴史を学ぶというのは、その要諦を現在に応用するということ。北の最高指導者には、それがはっきりと理解できている。こういう番組で、それを啓蒙しなくてどうすると言いたい。つぎに、おまぬけチェンバレンの役割を果たすのは誰か。もう何人かの人には、その姿が明確に見えているんじゃないかな。




 2000/07/30 (Sun)

「K-1 WORLD GP in 名古屋」フジテレビ 22時〜23時40分
 ニコラス・ペタス選手がよくない。わたしは2度、大山倍達総裁にインタビューをしているが、そのとき、総裁はこう言われていた。
「格闘家は、いかなるときでも油断をしてはいけない。敵に戦意があろうがなかろうが、敵と対峙している限りは、常に気を配り、いつでも戦える体勢を保っていなくてはならない。それが格闘家というものである」
 ペタス選手は、ブレイクがかかると、なぜか敵に背中を見せていた。レフェリーが分けると、簡単にうしろを向いてしまうのだ。わたしは1回戦から、ずうっとそれが気にかかっていた。試合決着後の一撃で、レ・バンナ選手に非難がでているようだが、スポーツ上の倫理はべつとして、わたしはペタス選手がよくなかったと思う。もしも大山総裁が存命であったら、ペタス選手には総裁による厳しい処分が待っていたことだろう。
 それにしても、門弟でもないわたしが、大山総裁から直接、聞かされていた武道家の心構えを、ペタス選手が知らないはずがない。なぜ総裁の教えをペタス選手は守らないのだろうか。その理由を可能ならば、一度、本人に訊いてみたいものである。




 2000/07/31 (Mon)

「スポコン!」テレビ朝日 毎週月曜日19時54分〜20時48分
 黒帯への道のフィナーレ、初段の昇進試験を放送した。番組参加選手のために集まったのが、神取忍選手、古賀稔彦選手、そして坂口征二新日本プロレスリング会長。日本チャンピオンが3人である。うちひとりは世界チャンピオンで、オリンピックのゴールドメダリスト。審査する先生のほうが緊張している。それが見ていてわかる。失礼な言い方で申し訳がないが、講道館ならいざ知らず、この顔ぶれが練馬の道場に集まるなんてこと、まずないもんね。この日、昇段試験を受けた一般の人たちも、いい記念になったことだろう。しかし、坂口親子のエキジビション・マッチがなかったのが残念である。「フィールド・オブ・ドリームス」に匹敵する、いい絵になったはずなのに。ああ、もったいない。



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